私は一人暮らしを始めてから数年、お恥ずかしながらキッチンの排水口掃除をほとんど放置していました。自炊はたまにする程度でしたが、ある時からシンクを使っていると鼻を突くような嫌な臭いが漂ってくるようになったのです。意を決して排水口のプラスチックの蓋を持ち上げてみると、そこには想像を絶する光景が広がっていました。ゴミ受けの網目が見えないほどに、灰色のドロドロとした物体がびっしりと張り付いていたのです。指で触るなど到底できないような、粘り気のあるその物体からは、下水のような強烈な異臭が放たれていました。私はまず、手袋を二重にはめてから割り箸を使い、大きなドロドロの塊を剥がし取ることから始めました。驚いたのは、その層の厚さです。何度掬い取っても、奥の方から際限なくヌメリが湧き出てくるような感覚に陥りました。表面の汚れを取り除いただけでは、排水口の内壁にはまだ黒ずんだ粘液がこびりついています。そこで私は、インターネットで調べた塩素系漂白剤によるつけ置きを試すことにしました。排水口のパーツをすべて取り出し、バケツの中で洗剤液に浸すと、シュワシュワという音と共に汚れが浮き上がってきました。三十分ほど放置した後、古い歯ブラシで軽く擦るだけで、あれほど頑固だったドロドロが面白いように落ちていきました。真っ白になったパーツを見て、私はようやく深い溜息をつくことができました。しかし、この掃除を通じて痛感したのは、汚れが溜まりきってから対処することの精神的・肉体的な負担の大きさです。あの異臭と視覚的なショックは、二度と経験したくないと思わせるに十分なものでした。それ以来、私は週に一度、必ず排水口の中を確認し、ドロドロが形成される前に洗剤でさっと流すことを習慣にしています。また、調理の際に出る茹で汁などを熱いうちに流すことで、油分の付着を防ぐよう意識を変えました。排水口を清潔に保つことは、単に部屋を綺麗にするということ以上の、自分自身の生活を整えるという実感に繋がっています。あのドロドロとした塊は、私の生活の乱れそのものだったのかもしれません。今は、光り輝くシンクを見るたびに、清々しい気持ちで料理を楽しむことができています。
キッチンの排水口のドロドロ掃除に挑んだ私の記録