いつもと変わらない生活を送っていたはずなのに、郵便受けに入っていた水道の検針票を見て、思わず二度見してしまった。そんな経験はありませんか。心当たりがないにもかかわらず、使用水量が普段の月と比べて異常に増えている場合、それは単なる使いすぎではなく、家のどこか目に見えない場所で「漏水」が起きていることを示す重大な警告サインかもしれません。 私たちが支払う水道料金は、家全体の水の入口に設置された水道メーターが計測した使用量に基づいて計算されています。このメーターは非常に精密で、蛇口から出る水だけでなく、配管から漏れ出すごくわずかな水も、例外なく「使用した水」としてカウントし続けます。つまり、壁の中や地中に埋まった給水管に小さな穴が一つ開いているだけで、二十四時間三百六十五日、誰も使っていない間も水が流れ続け、そのすべてが料金として請求されてしまうのです。 この見えない漏水を発見する最も簡単な方法が、水道メーターの確認です。まず、家中の蛇口がすべて閉まっていることを確認し、トイレも流れていない状態にします。その上で屋外のメーターボックスの蓋を開け、メーターの中心付近にある銀色の円盤、通称「パイロット」をじっと見てください。もしこのパイロットがゆっくりとでも回転しているのであれば、それはメーターから先のどこかで水が漏れ続けている確実な証拠となります。 もし漏水が原因で水道料金が高額になってしまった場合でも、諦めるのはまだ早いかもしれません。多くの自治体では、利用者が容易に発見できない地中や壁内での漏水であった場合、指定の工事業者による修理を条件に、超過した水道料金の一部を減額または免除する「漏水減免制度」を設けています。水道料金の急な変動は、家計への打撃であると同時に、建物が発する重要なSOSです。検針票の数字をただの請求額として見るのではなく、住まいの健康状態を示すバロメーターとして捉え、異変を感じたらすぐに行動を起こすことが大切です。