普段の生活の中で、ふと壁に目をやった時に見つけた覚えのないシミ。あるいは、天井の隅がなんとなく黒ずんでいるように見える。多くの人は「古くなっただけだろう」とか「汚れかな」と見過ごしてしまいがちですが、それらは実は建物内部で発生している漏水の危険な兆候かもしれません。漏水は床下や壁の内部など、私たちの目に見えない場所で静かに進行するため、そのサインにいち早く気づけるかどうかが、被害の拡大を防ぐ上で極めて重要になります。 家の中のすべての蛇口を閉め、誰も水を使っていない状態であることを確認した上で、屋外にある水道メーターを見てみましょう。メーターの中には、ごく微量の水の流れも検知する「パイロット」と呼ばれる銀色の円盤があります。もしこれがゆっくりとでも回転しているのであれば、家のどこかで水が漏れ続けている証拠です。これは、目に見える漏水がない場合でも、壁の中や地中の配管から水が漏れている可能性を示す最も確実なサインの一つです。 また、視覚的な変化にも注意を払いましょう。壁紙にできたシミや黒ずみ、不自然な浮きや剥がれは、壁の内部に湿気が溜まっていることが原因かもしれません。天井にできたシミは、上の階からの水漏れや、屋根からの雨漏りの可能性が考えられます。特に、雨が降った日だけシミが濃くなるようであれば、雨漏りを強く疑うべきです。床が特定の場所だけきしんだり、柔らかく感じられたりする場合も、床下で漏水が起きて床材が腐食し始めているサインである可能性があります。 これらのサインは、建物が発しているSOSの信号です。最初は小さな変化でも、放置すればカビの発生による健康被害や、建物の構造材の腐食といった深刻な事態へと発展しかねません。少しでも「おかしいな」と感じることがあれば、自己判断で放置せず、速やかに専門の調査会社や水道業者に相談することをお勧めします。早期発見と早期対応こそが、あなたの大切な住まいを守るための最善の策なのです。
壁のシミは漏水のサインかもしれない